岳:ただ、俺は降り積もる雪の音に耳を傾け
目を閉じられないでいた。
恐いという感情と共に何かが起こりそうな…
そんな予感がしたからだ。

忍:この地方では珍しい雪が降っていた。
触れても暫く溶けることはなく周囲の温度が
息をも凍らせてしまうほどやと俺は感じた。

忍岳:丁度一年前のこんな雪の日だった。
あいつに初めて出会ったのは…(忍は関西弁で)

(朝練中盤頃…)↓
忍:「おはようさん」
岳:「…おはよう」
忍:「何や元気あらへんなぁ。まぁ岳人は寒いん弱いしな」
岳:「…侑士がなれ過ぎてんだろ?」
忍:「せやな…。ま、関西はよぉ雪降らはるしな。
慣れてても不思議やあらへんな」
岳:「あぁ…」
こうした小さなことにも侑士との距離を感じる。
俺は侑士のことをまだ何も知らない。
忍:「…岳人」(岳人の鼻摘み)
岳:「いててっ」
忍:「あんなぁ…そんな顔しとったらブスになるで?」
岳:「…え?」
今なんて…(元はかわいいってことか?と期待してる感じで)
忍:「せやから…ブスになんで?て言うてんねん。」
岳:「ふんっ。どーせ俺はブスですよ〜だ」
俺は侑士を知らない。一年経ってもこんな侑士しか知らない。

忍:「あ…雪降ってきよった…。通りで寒いわけや」
岳:あの時と同じだ。朝練の途中で雪が降ってきて…
知らない関西弁の男が「あ…雪降ってきよった…。通りで寒いわけや」

…とポツリと言った。
「フフ…」(笑い声なら何でも可。)
忍:「何やねんきっしょく悪いなぁ…」
岳:「何だよ!気色悪ぃのは侑士だろ!ニヤニヤしやがって」
忍:「…ふ…。それはおおきに。」
岳:「褒めてねぇよ!」
忍:俺はその時ふと一年前のあの時から何も変わっていないことに気付く。
岳:俺はそう。その時に気付く。
こいつが隣におって…俺が隣にいる
何でもない事で笑って何でもない事で怒る
そして決して相手に対して秘めている自分の気持ちなど伝えることはなく
ただ…こうやって隣にいる
雪は俺にその事を気付かせそして待っている…
素直になれるのを。
忍:「…岳人。寒ない?」
岳:「寒ぃに決まってんだろ。バカ」
忍:「ほな…サボってまおか」
岳:「え…?侑士…!?」
俺が返事をするよりも先に侑士が俺の手を取って校舎へ向かって走り出した。
途中で跡部のすげぇ声が聞こえたけどただ、俺は侑士に手を引かれただ必死に走った
繋いだ手が……とても暖かかった