クリスマスの夜に起きた、少し暖かくて切ないお話。

ハルヒト:クリスマス前にフラれた可哀想な男
天使:神の使いで来たちょっとひねくれた女の子

***


ハルヒト:「ほら…窓の外見て…」

ハルヒト女声:「うわぁー」

ハルヒト:「綺麗だろ…?まるで僕たちを祝福しているようだね…」

ハルヒト女声:「うん…。ハルヒト…愛してるぅううううー!」

ハルヒト:「っとかってー!やりてー!くそぉー!
 何だよっ!今年もどーせ一人ぼっちだよ!けっ
 あー…こーいうこと一人でやってると更に寂しくなってくんな…くそ…
 クリスマス前にフラれるわ…プレゼントは無駄になるわ…
 無駄にケーキが3個もあるわ…予約したホテルはキャンセルできないわで…
 一人ぼっちでホテルかよぉっ!
 クリスマスなんて、独り身の俺にはただのいじめだっつーの!
 だぁーっ!くそぉっ!なんかいいことねーのか!いいこと!!
 聴いてんのか神様!」

天使:「聴いていますよ?」

ハルヒト:「ぎゃっ!!ななな、何ぃーっ!!?」

天使:「呼ばれたので出てきただけですよ?」

ハルヒト:「なななななっ!だ、だって!!えっ!?さっき鍵しめたっつの!
 不法侵入か!?不法侵入!警察呼ぶぞっ?」

天使「失礼な…。勝手に呼びつけておいて不法侵入だなんて…
 そんなだから、彼女に逃げられるんじゃないんですか?」

ハルヒト:「失っ礼なー!!てめ、ほんと何様だ!」

天使:「神様です」

ハルヒト:「ふざけんなっ!つか、神様なら不幸な俺のこと何とかしてくれよぉぉぉー」

天使:「はい。すいません。調子乗りました。神様じゃないです。
 だいたい、クリスマスのくそ忙しい時に神様があなたみたいな人に
 付き合っていられるわけがないでしょう?
 私はあまりに哀れなあなたを見て仕方なく降りてきてあげたんですよ」

ハルヒト:「お、降りてきたって…?どこから?」

天使:「雪のように空からv」

ハルヒト:「………はっ。はは…は…で、その空から来たあんたは俺を救ってくれるわけ?」

天使:「無理ですね」

ハルヒト:「やっぱりかよっ!てめ、何しに来やがった!一瞬期待しちまっただろ!
 俺の一瞬の期待を帰せっ!」

天使:「そんなこと言われましても…?私は何もできませんし。」

ハルヒト:「だったら、来んな馬鹿野郎!」

天使:「野郎じゃないんですけど?」

ハルヒト:「ままま、ま、まじかよっ!?お、女っ!!?」

天使:「失礼ですね…全く…。私のどこが男に見えるんです?」

ハルヒト:「た…確かに。よく見たら女かもしんね…」

天使:「ですから、失礼ですよ…」

ハルヒト:「お、おぅ…。失礼した。んで、その…あんたは何しに来たわけ?」

天使:「残り少ない時間ではありますが…あなたのお傍におります」

ハルヒト:「で…?」

天使:「それだけです」

ハルヒト:「それだけかよぉぉぉぉーっ!」

天使:「はい」

ハルヒト:「な、何だよそれぇ……」

天使:「一人で寂しいとおっしゃっておりましたので…、わざわざ寒い中降りて来たんですが?」

ハルヒト:「……それはそれはご苦労なこって。」

天使:「はい。あまりの寒さに凍えそうです」

ハルヒト:「天使のくせに体温なんて感じんのかよ?」

天使:「勿論。作りはあなた方人間とほとんど同じですから。」

ハルヒト:「そーかそーか。つまり、俺たち人間のように特には何もできねーと。」

天使:「そういうことになりますね。」

ハルヒト:「はぁ……;」

天使:「とりあえず…寒いんですが…」

ハルヒト:「おまえなぁー!勝手に降りてきたくせに俺に迷惑かけるってか?」

天使:「あなたが呼んだんです。あなたのせいですよ?」

ハルヒト:「くそ…俺にどうしろってんだよ?」

天使:「…抱きしめて暖めてください…」

ハルヒト:「は…はぁっ!!!?」

天使:「いやですか?こうしたかったのではないのですか?」

ハルヒト:「や…なんていうか…お、俺的にはいいけども…だなぁ……
 その…あんたは…さ…初めて会った男に抱きしめられてもいいわけ?」

天使:「初めてではないですよ?いつどこで会ったとは言えませんが。」

ハルヒト:「そっか…。じゃ…いいんだな…?」

天使:「はい……」

ハルヒト:「うわ…まじつめて……」

天使:「そうですか…?」

ハルヒト:「………悪ぃ。色々あんたにあたってさ…
 こんな寒い中来てくれたってのに……」

天使:「いえ…構いません。急に来た私が悪いんです」

ハルヒト:「………ごめんな…」

天使「いいえ…。もういいですから…ただ…強く…強く抱きしめてください…」

ハルヒト:「あぁ……」

あいつとの時間はすぐに過ぎた。
ただ、抱き合ってただけなのに…
時間はあっという間にすぎていって……


天使:「…時間です。クリスマスは終わりました。私は帰らなくてはなりません」

ハルヒト:「お…おい。そんな急に…」

天使:「元々あなたの願い通り、クリスマスに一人では寂しい…
 というので降りてきただけなので…
 私にはそれ以上のことはできません」

ハルヒト:「そんな……」

天使:「さようなら……」


ハルヒト:「おいっ!!!待てよっ!!!
 ………まだ名前も聞いてねぇのにっ………」

さようなら…そう一言言い残すとあいつは消えてしまった


残された俺には…ただ…寂しさだけが残った

ハルヒト:「まじかよ…なんだよ…これ……。
 クリスマス一人で過ごすよりもっと…もっと寂しいじゃんかよ……
 帰ってこいよ………」

俺の声はただ、むなしく広い部屋に響いた

クリスマスの…たった一日の…それもたった2、3時間の出来事…

俺は今でも忘れることができない…